単純な胃腸炎だけでなく、アレルギー、便秘、ストレス、あるいは「腸重積」のような緊急性の高い病気までさまざまな原因の可能性があります。当院では、小児科専門医がお子さまの症状や全身状態を丁寧に確認しながら、一人ひとりに合わせた診療を行っています。「病院に行くほどか迷う」という段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。
子どもによく起きる消化器系の症状として、まず嘔吐が挙げられます。嘔吐があると親としてはびっくりしてしまいますが、そもそも「子どもは体の仕組み的に、嘔吐しやすい」ことを知っておくと良いかもしれません。
まずそもそも、1歳半ころまでのお子さんは、食事の内容からして吐きやすいです。液体や離乳食のような半固形物は、やはり逆流しやすいです。それに加えて胃と食道の接合部の筋肉(括約筋)がまだ未熟で緩いため、逆流しやすいです。さらに少し上がって来た時、大人はぐっと堪えますが、子どもは堪えずそのまま吐きます。とにかく子どもは吐きやすいのです。
ただし嘔吐したからといって、すぐに吐き気止めを使用するのはあまり好ましくありません。嘔吐の原因も分からずにただ嘔吐を止めようと吐き気止めを使うのは、臭いものに蓋をしただけ。原因をしっかり突き止めて、原因から除去することこそ重要です。
嘔吐があるとすぐに、胃腸炎を想像する親御様も多いのではないでしょうか。しかし実は、嘔吐があっても下痢がなかった場合、胃腸炎とは言えません。胃腸炎であれば、胃腸からウイルスが出てしまえば症状は良くなります。だからこそ私たち小児科医は「胃腸炎ではないかもしれないぞ」から嘔吐の診察を始めます。
膀胱炎がさらに悪化して腎臓にまで感染が波及した場合、腎盂腎炎という速やかな抗菌薬治療が必要な状態となりますが、この病気でよくある症状が発熱+嘔吐です。それ以外の症状がないことが多いため不明熱と思われがちで、尿検査をしないと診断が付きにくいのが特徴です。腎臓まで感染が波及している場合、基本的には入院加療が必要となるため、高次医療機関へ紹介します。
6歳未満で間欠的な腹痛や不機嫌があれば、この疾患を考えねばいけません。腸が腸の中に入り込んで重なり合ってしまう、緊急性の高い病気です。放置すると締め付けられた腸の血流が悪くなりダメージを受けてしまうため、疑わしい場合には積極的に腸に造影剤をいれて画像撮影を行う注腸造影検査を行う必要があるため、やはり高次医療機関へ紹介します。
嘔吐を引き起こすのは、なにもお腹の病気だけではありません。意識が遠のいたり痙攣したりしたときには、頭の中の異常で嘔吐しているケースも稀にあります。こうした疾患を見落とさないために、吐き気止めはなるべく使わないべきとされています。
嘔吐が半日以上続いた場合、当初は胃腸炎が原因の嘔吐だったものが、別の原因に変わってきている可能性があります。そうした状態で真っ先に疑われるのがこのケトン性嘔吐です。私たち人間は普段、糖分をエネルギーにして生活していますが、体の中の糖分が不足すると、非常用エネルギーである脂肪をエネルギーにします。この脂肪、エネルギー効率はとても良いのですが普段から使われないのは、エネルギー産生時にゴミが発生するからです。このゴミこそがケトンであり、体の中にケトンが蓄積すると、嘔吐が生じます。つまり、吐いて食べられないうちに糖が足りなくなってくると、脂肪をエネルギーにしたことが原因でケトン性嘔吐になり、これは胃腸炎と違って放っておいても治らない嘔吐なのです。基本的には点滴をして、大量に糖分を供給する必要があるため、口から飲めればいいですが、飲めない場合にはやはり高次医療機関への紹介が必要になります。
世の中の子どもの10%以上は便秘と言われています。排便回数が少ないだけでなく、出すときに痛がって大泣きする、お腹が張る、足を交差させてお尻を締めるようにうんちを我慢するポーズをとる、なども便秘を示唆する大切なサインです。中には毎日排便があっても、どんどん硬い便が詰まっていって、ひどいときには嘔吐で受診されるケースもあります。
硬い便を我慢することでさらに硬くなり悪化する悪循環に陥りやすいため、また便秘によって食欲が落ちることで成長発達にも影響が出るため、早期の介入が重要です。
当院のアプローチ
まずエコーを使って腸内の便の状態を確認し、実際に便が詰まっているか確認します。生活習慣の見直しだけでなく、適切に浣腸や便を柔らかくする薬なども使いながら、お子さんに合わせたケアと治療を提供します。
赤ちゃんのお尻の周りにできる小さな皮膚のふくらみです。便秘などで硬いうんちが出るときに皮膚が切れる「切れ痔」を何度も繰り返すことで、その部分が腫れてニワトリのとさかのように盛り上がったものです(背中を下にして仰向けに寝た際、12時の方向にできやすい特徴があります)。
アプローチ
原因である便秘を根本から改善していくことが何より大切です。便通が整えば、時間はかかりますがスキンタグはゆっくりと小さくなっていきます。
腸の検査で異常がないにもかかわらず、お腹が敏感になってちょっとした変化やストレスに反応し、腹痛、下痢、便秘などが数か月以上続く病気です(小学生の1~2%、中学生の2~5%、高校生の5~9%にみられ、特に受験生や中高生に多くみられます)。
特徴とアプローチ
「朝になるとお腹が痛くなるが午後には落ち着く」「便意があるのにうまく出ない」「お腹が張って鳴る、おならが多い」など様々なパターンがあります。規則正しい生活習慣を整え、各タイプ(下痢型・便秘型・ガス型)に応じた食事指導(冷たいものや高脂肪食を控える、食物繊維を摂る、ガスを発生しやすい芋類を控えるなど)を行います。また、腸の機能を調節するお薬や整腸剤、漢方薬、下剤などを組み合わせてコントロールしていきます。
赤ちゃんのおへそがぽっこりと膨らんでしまう状態です(新生児の10人に1人程度にみられます)。生まれたあとにへその通り道(臍輪)が完全に閉じきらず、泣いてお腹に圧力がかかったときなどに腸の一部が飛び出してしまうことで起こります。
アプローチ
そのままでも1年で80%、2年で90%は自然に治りますが、大きく膨らんだでべその場合は皮膚のたるみが残ってしまうことがあります。そのため当院では、きれいに治る可能性を高めるために、早期からおへその膨らみをスポンジとテープで優しく押さえる圧迫療法を推奨し、適切な管理を行っています。
子どものお腹の不調は、日々の「食べる」「排泄する」という生きる基本に直結しているからこそ、適切に診断し、早期に治療し、お子さんの正常な成長発達に繋げる事が重要です。激烈な症状が出た時はもちろん、ちょっと気になる不調が実は病気の症状だった、ということも多いのがお腹の話です。気になる症状がございましたら、いつでも安心して気軽に相談してください。